OBD2ポートからガソリン残量は取れるか?

弊社で開発したタイでのガソリン盗難防止用に車載GPS機器を使用した車両管理システム、Beagle Trackerについてご紹介します。
第三回は、第一回でお話しした機材調達、第二回のソフトウェア開発に引き続き、実車でのテストについてです。

先ずは機器からのデータをサーバーで受け取り、データベースへ書き込むところまでを確認します。
メーカーの話では、車に接続して数分後に読み出せるデータの一覧が、設定ツール上に出てくるので、その中から必要なデータ項目を選択してやれば、後は機器が自動的にデータを送信してくれるとの事でした。
車に機器を接続し、少し走った後にPCと接続して設定ツールを起動します。
どれどれ、設定データの一覧はと・・・・・、ガソリン残量の項目が出てこない!!
なんとガソリン残量の項目が無いではないですか!

機器をリセットし、車に装着、ツールで読み出しを繰り返しました。
しかし、相変わらずガソリン残量の項目は出て来ません。。。

OBD2とは全世界の自動車メーカーで共通の標準化された規格です。
ですから、「どのコマンドを投げるとどのデータが取得される」という点では間違いはないはずなのですが。

仕方なくメーカーに問い合わせると、OBD2のPID一覧に定義されていてもそのデータ項目を答えるか答えないかは各メーカー次第になっているという答え。
つまり欲しいデータが戻ってこないこともあるという事の様です。
調べてみるとODBコマンドがどのデータを指しているのかという部分は共有されているのですが、そのコマンドを受け取った時にデータを返すか、返さないかという部分はメーカー次第というものだったのです。

装着する車によって取得出来るデータはマチマチだという事はつまり、ガソリン残量の値って計測出来る出来ないは車種によるって事に・・・

この件を長年整備士をやってる友人に問い合わせてみたのですが、彼いわくトヨタ車についていえば、OBD2ポートからガソリン残量は読み出せないという答えでした。
初めにトヨタ車でテストをした後、他メーカーの車にも装着してみましたがやはりガソリン残量の項目は取得出来ませんでした。

出来ないものは仕方ないので、取得出来るデータ項目をチェックしていき、ソフトのバグを潰していきます。
ある程度の完成度になった段階で、webアプリとの結合テストを行います。

webアプリと結合してみると、位置情報が抜けていたり(通信不能時のデータを通信再開時に纏めて送信する機能をカバー出来ていなかった)、運転状況のモニタリング設定値が適正化されていなくてアラームが頻発するなどのトラブルはあったものの、大きな問題は無く、いくつかのマイナーバグを修正して評価版相当までは持っていけました。

ただし相変わらずガソリン残量の取得ができないという問題は残っており、これをどうするかが課題です。
そもそも開発のきっかけとなった部分なのでなんとかしないといけないのですが、取得出来ないものは如何ともし難く、代替案として車載コンピュータからリアルタイムで取得した燃料消費量を使用してwebアプリ側で指定された期間の燃料消費量を算出する事にしました。

この機能を用いると消費量と給油量を比較する事が出来、会計精算時に不正請求などの見極めや、燃費の計算には十分です。
ただしこれはあくまで代替え手段なので、この部分をなんとか出来ないかと現在も鋭意作業中です(光明が少し見えたかも)!

次回はタイのお役所(NBTC)での認証についてです。

NBTC認証手続きについて
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